塩原赤川本谷--沢の遊園地へ―滝とロープとエメラルドブルーの一日
2026.8.1(土)
まずは研修から。張ってもらったロープを使い、安全に登り降りする練習。沢では「登れる」だけでは足りない。安全に登って、安全に降りて、無事に帰るまでが沢遊び。最初に基本を確認してから、いよいよ遡行開始。
沢へ入って間もなく、板状節理の岩肌を水が幾重にも流れ落ちる、美しい滝が現れる。まるでシャンパンタワーのようなゴージャスな流れ。滝の上まで見事な板状節理が続いていて、自然がつくった造形とは思えないほど。誰がこんな設計図を描いたのか。自然の仕事は、相変わらず細かい。
さらに進むと、エメラルドブルーの大きな釜。その美しさに見とれている場合ではなく、その先には約5メートルの滝が待っている。ここは今回の難関の一つ。左壁、水線のすぐ横を登る。リーダーの礒さんが先に登攀し、ロープを設置してくれた。最後の部分はつかむ場所が少なく、なかなか手強い。それでもロープがあるだけで安心感はまるで違う。
そして上流には、さらに大迫力の約20メートルの大滝。今回のコース最大の滝で、見上げるだけでも十分な存在感。その滝のミストを浴びながら昼食となった。絶景を前にして、全身を使って登ったあとの食事。これはもう、何を食べてもごちそうになる。沢の天然ミスト付き野外レストラン。ただし予約も屋根もなし。
昼食後には、今回もう一つの難関が待っていた。20メートルの大滝を高巻きする。急斜面のうえに地面が滑りやすく、チェーンスパイクを装着。それでも後半になるほど足元は泥でこねられ、ドロドロ、ズルズル。張ってもらったロープが本当にありがたい場所だった。こういうところでは、ロープ一本が命綱という言葉を文字どおり実感する。
その後は腰近くまで水につかる場所も通過。暑い時期とはいえ、腰まで入れば十分に目が覚める。その先には10メートル以上ありそうな滝が現れ、こちらも高巻き。先ほどより少しやさしいものの、安全のためロープを張って進んだ。
しばらく遡ると、源泉が湧き出している場所に到着。この鉱泉が沢の岩や川床を独特の赤色に染めている。ここまで続いていた赤茶色の沢は、この源泉を境にして一変。その先では、一般的な沢の色へと戻っていく。水の流れを追っているだけなのに、まるで地質の境界線を歩いているようで面白い。
大きな滝の最後には、15メートルほどありそうな流れの美しい滝が現れる。冬には氷瀑となり、夏とはまったく違う姿を見せてくれる場所とのこと。同じ沢でも季節が変われば、別の顔になる。その後も小さな滝が次々と続き、遡行を飽きさせない。
へつって進む人、滑って水に落ちる人、落ちたのではなく「あえて入った」と主張する人、そして深い場所へ自ら入って泳ぐ人。それぞれの楽しみ方で沢を満喫。水、岩、滝、ロープ、高巻き、へつり、そして時々の水没。歩いて1時間ほどの場所に、これだけの絶景とアトラクションが詰まっている。
まさに沢の遊園地。ただし入園ゲートも売店もなく、遊具は全部天然物。そして一歩間違えると笑い話では済まないからこそ、経験者のリードと安全装備があって初めて楽しめる世界でもある。
これほど変化に富んだ沢を身近に楽しめることを改めて実感した一日。那須は、本当に恵まれている。












